書評ブログ

日々の読書の記録と書評

森鴎外

栗山大膳(森鴎外)

江戸時代前期、福岡藩黒田家で起きたお家騒動(黒田騒動)の起こりと顛末を取り上げた短編小説。黒田騒動は江戸時代の三大お家騒動*1の一つ。 江戸時代には黒田騒動を扱った歌舞伎がいくつも作られたというが、現代では栗山大膳、何それ、おいしいの?という…

みちの記(森鴎外)

鴎外が明治23年8月、信越本線沿いに信州山田温泉に旅行したときの日記。 信越本線は一部できてはいたものの碓氷峠付近は馬車鉄道で峠越えに難儀したり、変な半可通の髭男に辟易したり、大雨で鉄道が壊れて帰りに苦労したり。 洋服を着ているとどこでも優遇さ…

カズイスチカ(森鴎外)

casuisticaというのは、症例集とか、臨床報告という意味のようである。 主人公の花房が医学部を卒業する頃、開業していた父親の代診をしていた思い出を語る形で展開する。おおかた鴎外自身の駆け出しの思い出が背景にあるのだろう。 父親は最新の外国の医学…

あそび(森鴎外)

官吏と作家の二足のわらじを履く木村の一日を描いた小品。…と言うとそれまでだが、二足のわらじを含め木村の設定の多くが鴎外自身に重なることから、官吏として、作家として、自身の仕事の様子や心持をこの作品で仄めかしたように思われる*1。それがタイトル…

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ サイトランク