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あそび(森鴎外)

官吏と作家の二足のわらじを履く木村の一日を描いた小品。…と言うとそれまでだが、二足のわらじを含め木村の設定の多くが鴎外自身に重なることから、官吏として、作家として、自身の仕事の様子や心持をこの作品で仄めかしたように思われる*1。それがタイトルである「あそび」の由来。遊び感覚が他人にはあからさまでよく非難されるというのはご愛嬌か。いかにも、日々の暮らしにあくせくすることのなかった高踏派らしい。

また、鴎外の文学に対する批評への反撃や弁明を試みており、興味深さと微笑ましさを感じる。

*1:もちろん、書いてあることすべてが事実ではあるまい。そうだとすれば、同僚の悪口を小説にして発表したことになってしまう。

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