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吾輩は猫である(夏目漱石)

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 旧制中学の英文教師(『リードル』という)苦沙弥先生の飼い猫の目を通し、西洋文明に染まった当時の中流階級を皮肉を込めて面白おかしく描く。職業といい病歴といい、苦沙弥先生には漱石自身が投影されている。余裕派の面目躍如。

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炎熱商人(深田祐介)

  

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今年亡くなった深田祐介直木賞を受賞した出世作。30年程前にNHKでドラマ化。ラストシーンがかすかに記憶に残っている。

高度成長期の日本で木材需要が急増し、中堅商社がフィリピン、ルソン島のラワン材の新規取引に走る。

人格者の支店長、変わり者の次長、ぼんぼんの出向社員、イケメン現地社員たちが、人々に残る戦争の傷、商習慣の違い、世界経済の荒波に翻弄されながらも、徐々にフィリピン社会に根付いて商売を花開かせる様子に感情移入してしまう。

イケメン現地社員は日比混血で占領下のマニラで日本人学校に通っていた設定であり、随所に織り交ぜられる戦時中の回想も読ませる。

そして、最後に・・・。

商社の採用面接で「炎熱商人を読んだことはあるか?」と聞かれたという都市伝説があるが、まんざら伝説でもないのだろう。

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