書評ブログ

日々の読書の記録と書評

カシオペアの丘で(重松清)

Amazon(上巻 下巻) 楽天(上巻 下巻) 親子3人で平凡な暮らしをしていたサラリーマンが突然末期がんを宣告されたことをきっかけに、疎遠になっていた故郷、幼なじみのもとに戻り、かつて反発した祖父と対峙しながら人生の最後の日々を送る様を描く。父と子の…

流星ワゴン(重松清)

Amazon 楽天 ゲームにはまって1か月サボっていました。 今回はドラマでやっている小説を読んだ。ミーハーなもので。 妻の浮気(というよりセックス依存症)と離婚問題、息子の不登校と家庭内暴力、自分はリストラ、金を持ってる父親とは不和と、日本家庭の…

採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの(伊賀泰代)

Amazon 楽天 タイトルとは裏腹に、リーダーシップとは何か、今の日本の企業や社会に必要なリーダーとは何か、どうしたらリーダーになれるかを説いている。 著者は永年マッキンゼーの日本法人で採用を担当してきた。コンサルティング会社というと、地頭が良い…

暗闇商人(深田祐介)

Amazon(上巻 下巻) ロンドンの語学学校を舞台に起きた北朝鮮による日本人拉致をモチーフに、水面下に広がるテロ組織のネットワークとその犯罪を赤裸々に描く。 夫の早逝によりシングルマザーとなった佐久間浩美は、夫の伯父佐久間健一の計らいで息子を連れて…

たすけ鍼(山本一力)

Amazon 楽天 江戸深川の鍼灸の名人染谷が、その腕で貧富貴賤の分け隔てなく病や怪我に悩む人々を救い、救われた人々が染谷に影響され社会に対し教育に救恤にと善行をなしてゆく人情物語。 あかね空のような泣かせる(泣かせを意識した)ストーリーを熱いと表…

警視庁公安部・青山望 完全黙秘(濱嘉之)

警視庁公安部のホープその名も青山望が、異なる部署で活躍する同期の絆を武器に、日本の裏社会と対峙するシリーズ第一弾。 財務大臣梅沢富士雄が、地元福岡にあるホテルのバンケットホールのこけら落としパーティーで刺殺された。犯人は逃げる素振りも見せず…

スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考(ジョン=ベリー)

Amazon 楽天 このブログで小説以外の本を初めて取り上げる。 哲学者でスタンフォード大学教授 の著者が、自らの「先延ばし癖」を分析・考察し、先延ばし癖の効用や付き合い方をゆるく説く。「自己啓発」のタグをつけたが著者の経験に基づくエッセイに近く、…

レッドゾーン(真山仁)

ハゲタカシリーズの第3弾。今回は、同族経営のアカマ自動車を舞台に、日中のハゲタカが激突する。

ハゲタカ2(真山仁/原題 バイアウト)

Amazon(上巻 下巻) 楽天(上巻 下巻) 「日本を買収する」と豪語する鷲津政彦が日本の巨大企業の買収合戦に挑むハゲタカシリーズの第2作。今回も、日本に実在した巨大企業のM&A案件がモチーフとなっている。 上巻では、経営不振に喘ぐ名門企業鈴紡*1の再建を巡…

しぶちん(山崎豊子)

Amazonはこちら 山崎豊子初期の中・短編集。 船場狂い大阪の商業の中心地だった船場への憧れが高じ、船場に異常に執着するようになった商家の変わったおばさんのお話。執着が高じて船場の老舗を盛り立てていく…。 死亡記事新聞社に入社した女記者が人事部長…

天地明察(冲方丁)

江戸時代初頭に精密な天文観測と算術を駆使して改暦を実現し、江戸幕府の初代天文方になった渋川春海の活躍を描く。

警視庁情報官 サイバージハード(濱嘉之)

警視庁情報官のシリーズ第5弾。秋葉原を管轄する警視庁万世橋署署長に栄転した黒田警視が、管内で発生した不正出金事件を端緒に宗教団体の大掛かりなサイバーテロを暴く。

警視庁情報官 ブラックドナー(濱嘉之)

父島警察署長から情報室に返り咲いた黒田警視が世界を股にかけた臓器売買ビジネスの闇に斬り込む。

暖簾(山崎豊子)

Amazon 楽天 明治・大正・昭和と親子二代にわたって受け継がれる大阪、船場商人の魂の物語。店の軒先に掲げる暖簾が、家業の象徴、また魂を次代に引き継ぐDNAとして親子の精神的な支柱となり、家業を導いてゆく。 明治29年に、先代が淡路島からほとんど身…

警視庁情報官 トリックスター(濱嘉之)

詐欺集団に「黒ちゃん」こと黒木警視以下警視庁総務部情報室が挑むシリーズ第3弾。今回も日本社会の裏情報満載。

警視庁情報官 ハニートラップ(濱嘉之/原題 公安特命捜査 警視庁情報官2)

中国が仕掛けたハニートラップに嵌められて防衛機密を漏らすという最近ありがちな犯罪を黒田警視以下警視庁情報室の面々の活躍で検挙する。警視庁情報官シリーズ第2弾

ムッシュ・クラタ(山崎豊子)

山崎豊子といえば、読み応えタップリの長編を思い出すが、これは短編・中編集。夫婦関係の無常を描いた作品が多い。収録作品…ムッシュ・クラタ 晴れ着 へんねし 醜男

警視庁情報官 シークレット・オフィサー(濱嘉之)

警視庁の超優秀なノンキャリアの公安マンを主人公に据えた、公安モノの警察小説シリーズの第一弾。現代日本に蠢く裏社会をリアルに描く。情報の質と量に圧倒される。

臨場(横山秀夫)

言わずと知れたテレビドラマの原作。 主人公の倉石警視は、 豪放で、一匹狼で、しかも非常に優秀な検視官。終身検視官だの、クライシス・クライシだのと綽名される。心酔する者は多いが上にとっては扱いにくいタイプの典型である。 倉石はすべてにおいて鋭さ…

動機(横山秀夫)

Amazon 楽天 警察とその周辺の人々にまつわる事件を取り上げた短編推理小説集(「逆転の夏」だけはやや趣が違う)。警察内部の不祥事あり、警察回り記者の引き抜きあり、裁判官の居眠りあり。その陰には必ず意外な犯人と意外な動機がある。そういう「中の人…

陰の季節(横山秀夫)

amazon 楽天 警察内部の不祥事や県警本部の職務を題材にした、異色の短編推理小説集。ドラマで取り上げられることが少ない人事・監察・議会対策に携わる県警本部警務部の警察官が奔走する。 全ての話に用意されている大どんでん返しがとても面白く、推理小説…

あかね空(山本一力)

楽天ブックス版 あかね空 京都で鍛えた豆腐作りの腕を頼りに江戸に出てきた栄吉と妻おふみ、そして3人の子供たちの家族ストーリー。全編を通して人情に溢れ、泣かせる作品。直木賞受賞作とのこと、相応しいと思う。 《第一部》栄吉は江戸の深川で豆腐屋を開…

良寛(立松和平)

楽天ブックス 上巻 下巻 江戸時代の禅僧良寛の伝記。 子供の頃に読んだ百科事典の影響で、良寛には子供好きで、一日中子供と手まりをついて遊んでいたいい人というイメージが強かったが、若いころに厳しい修行に打ち込み成就してきた宗教者としての太い背骨…

倫敦塔(夏目漱石)

Amazon(kindle) 楽天kobo 主人公が見物に行ったロンドン塔で、かつてここで非業の死を遂げた人物の悲哀の姿を想像し、目の前の風景のように活写した幻想的な作品。漱石自身がロンドン留学中にロンドン塔を見物し、この記憶を下敷きにしたのだろう。

満韓ところどころ(夏目漱石)

Amazon(kindle版) 楽天kobo 漱石の友人中村是公(満鉄総裁)に招かれた満州旅行の紀行。日本の都会とは雰囲気の違う大連の街並みや広大な満州の田園風景、そして戦後間もない日露戦争の激戦地旅順の様子がくっきりと描かれている。作中で何度も謳われる当…

明暗(夏目漱石)

Amazon 楽天ブックス 新婚の由雄とお延。しかし二人はどこかよそよそしく、しかも派手好みがたたり家計は火の車。由雄が手術費用を実家に無心するに至ってついに父親もキレ、援助を渋るようになる。お延が奔走し、お延の叔父の援助を受けることになったのだ…

草枕(夏目漱石)

Amazon 楽天ブックス 写生旅行に出た主人公と宿の女主人の恋愛物語(東京帝大の教壇で'I love you.'を「月がきれいですね」と訳すよう指導した漱石にとって、これは官能小説とすらいえるのではあるまいか)。主人公が語る漱石の芸術論も興味深い。

坊っちゃん(夏目漱石)

(Amazon) 坊っちゃん(楽天) 無鉄砲な坊っちゃんが数学教師として松山に赴任して始まる痛快ストーリー。ストレートな人物描写と江戸っ子らしい坊っちゃん自身のナレーションが小気味良い。

ハゲタカ(真山仁)

楽天版(上巻 下巻) ハゲタカ→ハゲタカ2→レッドゾーン→グリード と続くハゲタカシリーズの第一幕。 2000年頃の平成不況にあえいでいた日本で、不良債権や経営が傾いた会社を安く買って短期間でボロ儲けする外資系投資銀行は、死肉をむさぼるハゲタカと言わ…

吾輩は猫である(夏目漱石)

Amazon 楽天 旧制中学の英文教師(『リードル』という)苦沙弥先生の飼い猫の目を通し、西洋文明に染まった当時の中流階級を皮肉を込めて面白おかしく描く。職業といい病歴といい、苦沙弥先生には漱石自身が投影されている。余裕派の面目躍如。 《Amazon》吾…

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