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「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく東大読書(西岡 壱誠)

偏差値35から2浪中に読書法に目覚めて東大に合格、現在は書評サークルの代表を務める著者が、本を読み込む方法論を紹介している。

ターゲットの読者層は、有意義な読書を通して知識をしっかり吸収したい人、それから「地頭の良さ」に憧れを持つ人か。

例えばこんなアクティビティが紹介されている。それぞれのアクティビティの方法は箇条書きで要領よく、具体的に解説されているので読みやすい。

  • 本の帯やタイトル、著者のプロフィールをあらかじめ調べるといった一見テクニカルなもの。*1
  • 本に対する質問や疑問を考えながら読む。
  • 類似した本を2冊同時に読みながら共通点や相違点、主張の違いを比較する。
  • 骨格にあたる論理の流れと、論理を解説・補強する肉の部分を切り分ける。
  • 章・節・本全体を要約する。特に本全体を140字以内で要約してみる、というのは以前のTwitterの字数制限から来ている(Twitter書評術!)
  • 上記のアクティビティを付箋やノートに記録する。

カバーには速く読めると書いてあるが、こんな作業をして速く読めるはずがない。ただ、内容を忘れない・応用できるというのはその通りだろう。また、本に限らず雑多な情報からエッセンスを抽出し、要約して他人に伝える能力は社会生活上重要である。この文のような書評を書くときにも役に立つ。

随所に差し込まれている推薦本は、経済や歴史に関する最新の解説本と古典が多い。坂口安吾堕落論を紹介しているあたり、なかなか興味深い。

所々に出てくる東大生の様子を嫌味に思うかもしれない。著者は書評サークルの代表であるため、周囲には読書好きが集まりやすいというバイアスもあるからと思い大目に見よう。

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*1:ただし、こういうところから情報を把握することは悪いことではなく、読書をインテリジェンス活動の一つと捉えたとき、むしろ基本といえるものだろう。

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