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虞美人草(夏目漱石)

夏目漱石の文壇デビュー作。デビュー作で力が入っていたのかどうかは知らないが、まさに組んずほぐれつの濃厚なドロドロストーリー。

美貌を鼻にかける藤尾が、二人の男性を翻弄する立場を楽しんでいるうちに自ら陥穽に嵌まる。その中で多くの対立項的な「二人」の関係が交錯する。対立項から主体的に抜け出した者がドロドロに終止符を打つ。

・友人の甲野欽吾と宗近、欽吾は芸術家肌で神経衰弱で療養中。宗近は外交官試験浪人中で陽気な性格。

・欽吾と藤尾は異母兄妹。母(藤尾の実母にして欽吾の義母)は欽吾を廃嫡し、藤尾に婿を取らせて亡き夫の遺産を独占しようと企む。

・藤尾と宗近の妹糸子。容貌も性格も正反対。会話をすれば女同士のつばぜり合いに火花を散らす。*1

・宗近と大学博士課程在学中の小野は藤尾をめぐり三角関係にある。しかし二人とも藤尾にいいように翻弄されている。

・藤尾と小野の許嫁小夜子は小野をめぐり三角関係にある。小野は、博士号を取ったら小夜子と別れ、藤尾と結婚しようと画策する。

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*1:宗近と糸子も「陽」と「陰」といえようが、この二人の違いを決定的に際立たせているわけではない。

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