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三四郎(夏目漱石)

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熊本から上京して東大に入学した三四郎が、学問に、交友に、恋愛に、学生生活を謳歌する青春グラフィティ(2/3は恋愛譚だが)。

東大に入学することになった三四郎は、暑い盛りに電車で上京する*1。道中、車中で出逢った女性との(ある意味残念な)一夜や、文明論をぶつオッサンの毒気に当てられたりと、入学前から「洗礼」を受ける*2

入学後、バンカラで自由奔放な同級生小次郎や、風変わりな文学評論家で一高教師の広田、地下の研究室にこもっては日夜光圧を測定するこれまた変わり者の物理学者野々宮とその妹達と出会い、交流を深めてゆく。

そして、大学構内の池にたたずむ美禰子に一目惚れし、次第に振り回されるようになる。まあ、三四郎が晩稲だったのが幸いで、深入りしなくてよかったねと思うが。

また、明治時代の大学や大学生の雰囲気が垣間見え興味深い。日本の大学の黎明期で大学進学率が1%にも満たない時代の貴重な記録ともいえる。

*1:当時の大学は9月入学だったことがわかる

*2:この洗礼はもちろん入学後の三四郎の軌跡を仄めかす伏線である。

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