書評ブログ

日々の読書の記録と書評

坑夫(夏目漱石)

許嫁がいるにも関わらず、その妹と恋愛関係に陥りそうになったことに苦に家出した主人公。丸一日歩いていると、ポン引きに儲かる働き口が在ると誘われ、ついて行った先は銅山だった。 銅山の街は都市から隔絶され、独特の習慣や風俗が広がる空間だった*1。ま…

彼岸過迄(夏目漱石)

漱石の言い訳めいた能書きから始まる。大病直後無理を避けて元旦まで執筆をやめていただの、1月から彼岸までに新聞連載を終わらせるつもりだから安直に彼岸過迄というタイトルにしただの。 大学は出たけどプー。誇大な冒険を妄想するばかりで就職活動も飽き…

文鳥(夏目漱石)

漱石が 鈴木三重吉にそそのかされて文鳥を飼った一部始終を描いた短編。 最初はせっせと世話をしながら忙しい執筆活動の癒やしにするのだが、だんだん世話に飽きるというお決まりのパターンがリアル。そして、文鳥の姿の描写がとても細やかで感心する。 やっ…

薤露行(夏目漱石)

(楽天)倫敦塔・幻影の盾※薤露行収録 (Amazon)倫敦塔・幻影の盾※薤露行収録 「かいろこう」と読む。 薤とはらっきょうのことで、薤の葉の上に置いた露は消えやすいところから、人の世のはかないことや、人の死を悲しむ涙を薤露という。転じて、葬送のとき…

夢十夜(夏目漱石)

〈楽天ブックス〉夢十夜 〈楽天kobo〉夢十夜 〈Amazon〉夢十夜 「こんな夢を見た」で始まる短い夢語り10編。日常生活の延長線上にある夢、少し幻想的な夢、さまざま。僭越ながら各編にタイトルをつけるとこんなところ。 第一夜 死んだ女を100年待つ 第二夜 …

三四郎(夏目漱石)

三四郎(楽天ブックス) 三四郎(楽天kobo) 三四郎 (Amazon) 熊本から上京して東大に入学した三四郎が、学問に、交友に、恋愛に、学生生活を謳歌する青春グラフィティ(2/3は恋愛譚だが)。 東大に入学することになった三四郎は、暑い盛りに電車で上京する*…

こころ(夏目漱石)

高校の教科書にも載っている小説。教科書は後半の1/3に当たる「先生」の遺書が中心で、「先生」と「私」の出会いや「私」の家族の話は大半がカットされているのだが。。。

門(夏目漱石)

宗助と御米夫婦は崖の下に建つ小さな借家でひっそりと暮らす。夫婦仲はとてもよいのだが、過去の事件がもとで、親戚付き合いも疎遠がちだった。子宝にも恵まれない。...

道草(夏目漱石)

外国留学から帰ってから大学に勤め、教育に、執筆に多忙な健三。妻とは喧嘩が絶えないばかりか、養父母が金をたかりに来て(養父母が二人がかりでにたかるのではなく、養父と養母がそれぞれたかりに来るのである)、気が休まらない。そうこうしているうちに…

野分(夏目漱石)

裕福で明るく結婚を控えた中野と、シャイで堅物で胸を病む高柳。二人は大学の文学部で同期だった友人である。そして、頑固さゆえに生徒(その中に高柳もいた)や同僚にいじめられて教壇を追われた後、今度は雑誌編集で糊口を凌ぎながら文壇に新たな一ページ…

女系家族(山崎豊子)

代々女系(長女が婿を取って家督を継ぐ)で続いてきた大阪船場の老舗問屋の相続ゴタゴタストーリー。これまで何度もドラマ化されている。 山崎豊子は、初期の大阪船場の商人モノと後期の社会問題や社会現象を題材にしたドロドロ劇が多いのだが、これは両者を…

幻影の盾(夏目漱石)

イングランドの伝説時代を題材に取った、ある騎士の戦いと恋の幻想的な物語。日本人が登場する漱石のメジャーな大作とは雰囲気が異なる。「倫敦塔」に近いか。 見慣れない漢語が多い。辞書を引き引きゆっくり味読しよう。

プログラミングの心理学 25周年記念版(ワインバーグ)

IT

1970年代のIT業界で、プログラマーの心理的な側面とパフォーマンスの関係に焦点を当て、ひいてはあるべきマネジメントの姿を考察した古典。 それから25年たっての(1998年)著者のコメントが章ごとに丁寧に付されている。今でも通用するところが多いと思う。 …

花紋(山崎豊子)

大阪河内長野の大地主の家に生まれた総領娘が恋に短歌に生きようとするも、あまりに封建的な家に縛られ、陰鬱のうちに過ごした一生を描く。

大地の子(山崎豊子)

楽天ブックスはこちら 終戦時に中国に取り残された孤児と日本に帰還した父親の数奇な運命を、壮大なスケールで描いた感動作。 ソ連と満州国国境に近い日本人開拓村にいた松本勝男は、1945年8月9日のソ連侵攻で両親と生き別れ、一緒に逃げた妹あつ子ともやが…

警視庁公安部・青山望 報復連鎖(濱嘉之)

警視庁の各セクションに散らばる同期同教場4人組が裏社会と対決するシリーズ第3作。

花のれん(山崎豊子)

(楽天)花のれん (Amazon)花のれん 大正から昭和初期に、お笑いのプロモーターとして一世を風靡した女性の強烈な生涯を描く。吉本興業がモデルとも。 日露戦争直後、大阪の呉服屋のぼんぼんに嫁ぐ多加。しかし夫は甲斐性なしで、毎日落語見物に出かけては…

警視庁公安部・青山望 政界汚染(濱嘉之)

Amazonはこちら 警視庁公安部の青山望たち警察学校の同期カルテットが、政財界・暴力団・外国の闇に斬り込むシリーズ第2作。 都内に複数の病院・介護施設を擁する有数の医療法人の理事長が、日本公正党の重鎮で厚生族の大澤純一郎*1の引きで参院選比例区に出…

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ(大栗博司)

楽天ブックスはこちら 第一線の物理学者が、今日の物理学の最重要テーマ『重力』について、最先端の話題を巧みな比喩を織り交ぜながらわかりやすくかつ正確に解説してくれる。 重力の研究はニュートンがリンゴを見て重力のアイディアをひらめき、惑星の公転…

カシオペアの丘で(重松清)

Amazon(上巻 下巻) 楽天(上巻 下巻) 親子3人で平凡な暮らしをしていたサラリーマンが突然末期がんを宣告されたことをきっかけに、疎遠になっていた故郷、幼なじみのもとに戻り、かつて反発した祖父と対峙しながら人生の最後の日々を送る様を描く。父と子の…

流星ワゴン(重松清)

Amazon 楽天 ゲームにはまって1か月サボっていました。 今回はドラマでやっている小説を読んだ。ミーハーなもので。 妻の浮気(というよりセックス依存症)と離婚問題、息子の不登校と家庭内暴力、自分はリストラ、金を持ってる父親とは不和と、日本家庭の…

採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの(伊賀泰代)

Amazon 楽天 タイトルとは裏腹に、リーダーシップとは何か、今の日本の企業や社会に必要なリーダーとは何か、どうしたらリーダーになれるかを説いている。 著者は永年マッキンゼーの日本法人で採用を担当してきた。コンサルティング会社というと、地頭が良い…

暗闇商人(深田祐介)

Amazon(上巻 下巻) ロンドンの語学学校を舞台に起きた北朝鮮による日本人拉致をモチーフに、水面下に広がるテロ組織のネットワークとその犯罪を赤裸々に描く。 夫の早逝によりシングルマザーとなった佐久間浩美は、夫の伯父佐久間健一の計らいで息子を連れて…

たすけ鍼(山本一力)

Amazon 楽天 江戸深川の鍼灸の名人染谷が、その腕で貧富貴賤の分け隔てなく病や怪我に悩む人々を救い、救われた人々が染谷に影響され社会に対し教育に救恤にと善行をなしてゆく人情物語。 あかね空のような泣かせる(泣かせを意識した)ストーリーを熱いと表…

警視庁公安部・青山望 完全黙秘(濱嘉之)

警視庁公安部のホープその名も青山望が、異なる部署で活躍する同期の絆を武器に、日本の裏社会と対峙するシリーズ第一弾。 財務大臣梅沢富士雄が、地元福岡にあるホテルのバンケットホールのこけら落としパーティーで刺殺された。犯人は逃げる素振りも見せず…

スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考(ジョン=ベリー)

Amazon 楽天 このブログで小説以外の本を初めて取り上げる。 哲学者でスタンフォード大学教授 の著者が、自らの「先延ばし癖」を分析・考察し、先延ばし癖の効用や付き合い方をゆるく説く。「自己啓発」のタグをつけたが著者の経験に基づくエッセイに近く、…

レッドゾーン(真山仁)

ハゲタカシリーズの第3弾。今回は、同族経営のアカマ自動車を舞台に、日中のハゲタカが激突する。

ハゲタカ2(真山仁/原題 バイアウト)

Amazon(上巻 下巻) 楽天(上巻 下巻) 「日本を買収する」と豪語する鷲津政彦が日本の巨大企業の買収合戦に挑むハゲタカシリーズの第2作。今回も、日本に実在した巨大企業のM&A案件がモチーフとなっている。 上巻では、経営不振に喘ぐ名門企業鈴紡*1の再建を巡…

しぶちん(山崎豊子)

Amazonはこちら 山崎豊子初期の中・短編集。 船場狂い大阪の商業の中心地だった船場への憧れが高じ、船場に異常に執着するようになった商家の変わったおばさんのお話。執着が高じて船場の老舗を盛り立てていく…。 死亡記事新聞社に入社した女記者が人事部長…

天地明察(冲方丁)

江戸時代初頭に精密な天文観測と算術を駆使して改暦を実現し、江戸幕府の初代天文方になった渋川春海の活躍を描く。

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